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ブルーフィルター:霞を強調し、オルソクロマティックの描写を取り戻す
ブルーフィルターが大気中の霞を誇張し、白黒写真で遠景をいかに軟調に仕上げるか。そして初期オルソクロマティック乳剤の描写をどう再現するかを解説する。
、Simon Lehmann 著 Editor
白黒写真では、空は実際より明るく写ることが多い。HP5 Plus や Tri-X のような全色性乳剤は青と紫外線に対して残留する過感度を持っているため、青い空は薄く写り、雲がその中に埋もれてしまう。定番の対処法は色付きコントラストフィルターで、Wratten 8(K2)イエローや 25 レッドが青を吸収することで空を暗くする。偏光フィルターも同様の結果に達するが、まったく異なる仕組みによる。波長ではなく光の振動面によって光を選択するのだ。この違いこそが、色フィルターでは対処できない場面で偏光フィルターを有用にし、同時にその効果が現れる条件をも規定している。
写真用の偏光フィルターは、結晶の厚板ではなく延伸プラスチックのシートだ。Edwin Land は 19 歳の Harvard 学部生だったとき、1929 年に最初の合成二色性シート偏光子を特許取得した。現在のフィルターが使い続けている優れた H シートは 1938 年に続いた。H シートはポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素を含浸させ、元の数倍の長さに延伸したもので、長いヨウ素・ポリエン鎖が平行な導電性スレッドとして整列する。電場がこのチェーンに平行に振動する光はチェーンに沿って電子を駆動し強く吸収される。垂直に振動する光はそれができず、透過する。フィルターは一方の振動面の光を反射するのではない。吸収するのだ。「一方の振動面の光だけを透過する」という説明は、実際には選択的吸収を簡略化した表現にすぎない。
空の光は散乱されているため偏光している。空気分子は可視光の波長よりはるかに小さいため、レイリー散乱が支配的で、各分子は太陽光を振動する電気双極子として再放射する。双極子は自身の軸方向には放射できないため、入射光線に対して 90 度で散乱された光は散乱面に垂直な方向へ強く偏光して出てくる。したがって偏光は太陽から 90 度の帯状領域でピークに達し、太陽を直接見る方向および太陽の反対方向に向かうにつれてゼロに近づく。
その帯状領域でも完全には偏光しない。多重散乱とエアロゾルが偏光の最大度を晴れた日でおよそ 70〜80 パーセントに抑え、霞の日にはさらに低くなる。これが偏光フィルター単独で空をどれだけ暗くできるかの上限を定める硬い天井だ。フィルターの透過軸を空の光の支配的な偏光方向とクロスさせると、偏光成分のほとんどが除去されて空が暗く記録される——しかしそれはあの 90 度の帯状領域内でだけだ。太陽を真後ろや真正面にした構図では、フィルターをどう回しても変化はほとんど現れない。
色フィルターに対する優位性は、偏光フィルターが何を変えないかにある。葉や岩、肌、その他ほとんどのマット面からの拡散反射光は大部分が無偏光であるため、フィルターの向きに関わらず透過する。除去されるのは方向性を持った偏光成分——散乱した空の光と鏡面反射——だけだ。緑、茶、肌色の描写をニュートラルに保ったまま、空だけが暗くなる。
一方 Wratten 25 レッドは、青をどこにでも吸収することで空を暗くするため、フレーム全体で赤い被写体が明るくなり、青いものが暗くなる。偏光フィルターは色の関係を何も変えない。色で識別しないからだ。二つのツールは相性がよい——色フィルターはスペクトルのコントラストに、偏光フィルターはグレアに作用し、互いに独立した光の特性に働くため、係数は段(ストップ)で単純に加算される。偏光フィルターの約 1.5 段(ストップ)と 25 レッドの 3 段(ストップ)を重ねると合計で約 4.5 段(ストップ)、係数の合計は 22 前後になる。重ね使いには二つのペナルティに注意したい。28mm より広いレンズでの隅のケラレと、同じ広角レンズでの空の暗くなり方の不均一さだ——90 度の偏光帯は広い画角の一部にしか及ばないため、空がフレーム内で暗いところから明るいところへとグラデーションになってしまう。
フィルムフォトグラファーにとって重要な購入時の選択はリニア(直線偏光)かサーキュラー(円偏光)かだが、「サーキュラー」は光学的な性質を表すのであって形状ではない。サーキュラー偏光フィルターは、通常のリニア偏光子に 1/4 波長板を貼り合わせたものだ。仕事をするのはリニアの要素で、1/4 波長板はフィルター後面から出る光を再びランダム化することで、光路のさらに先にある偏光感度のあるビームスプリッターを欺かないようにする。多くの SLR では、TTL 露出計とオートフォーカスセンサーへ光を分岐させるため、ハーフシルバーミラーやプリズムを使っており、こうしたビームスプリッターは偏光に依存した割合の光を反射する。その前にリニア偏光フィルターをそのまま付けると、シーンとは無関係な理由でフィルターを回すたびに露出計の値が変動する。
ルールは単純だ。Leica M やビューカメラなどフルマニュアルのカメラで外付けメーターで測光するなら、安価なリニア偏光フィルターで正しく、何も失わない。ビームスプリッター付き SLR でレンズを通して測光するなら、サーキュラーを買うこと。
同じ選択性がグレアの除去にも働く。誘電体(非金属)の面——水、ガラス、濡れた葉、塗装木材——で反射した光は反射によって偏光し、その偏光はブリュースター角で完全になる。ブリュースターの法則は面の法線からの角度を θ_B = arctan(n2/n1) と表す。空気からガラス(n=1.5)では約 56 度、空気から水(n=1.33)では約 53 度だ。この角度は面そのものからではなく、面に垂直な法線から測ることに注意。ブリュースター角では反射光は入射面に垂直な方向へ完全に偏光するため、偏光フィルターをクロスさせることで完全に消滅させることができ、池の底の岩や店のガラス越しの商品が見えてくる。裸の金属では反射によって光は偏光しない——導体からの反射にはブリュースター成分がないため、クロームや塗装なしの鉄鋼のハイライトに偏光フィルターは効かない。
HP5 Plus のフィルムで湖、太陽は左肩の方向にあるとしよう。遠くの丘の斜面とその上の空は 90 度の帯状領域に入っている。ファインダー内の空が最も深くなるまでフィルターを回したあと、そのまま測光する。偏光フィルターはシーンによらず固定量の光量を失う——B+W や Hoya のサーキュラーで約 1.5 段(ストップ)(フィルター係数はおおよそ 2.5〜4)、高透過率の Hoya HRT ではそれより少ない。基本的な損失は無偏光光の片方の振動面を遮断することから来るもので、回転させても変わらない。すでに偏光している光をさらに除去するシーン依存の分だけが向きによって変化する。だから測光は角度を決めた後に行うこと、前ではない。暗くなった空が ゾーン V に測れたとき、それを ゾーン III に置く露出は 2 段(ストップ)落とすことになり、雲をその上に明るいハイライトとして残す。続いて法線から約 53 度の角度で水面にカメラを向け直し、フィルターを再調整する。水面のグレアが消え、水中の岩が現れる——新しい向きでの再測光という代償と引き換えに。
真っ黒な空が欲しいなら、偏光フィルターだけに頼ってはいけない。Ansel Adams は The Negative(1981 年)の中で、Wratten の深いフィルター(25 レッドや 29)で空を暗くし、暗室での焼き込みでトーンを仕上げており、偏光フィルター単独に頼るようなことはしていない。このフィルターが与えてくれるのは帯状の空の 70〜80 パーセントであり、真っ黒な空ではない。残りを担うのは露出、現像、そしてプリントだ。
画像:Ansel Adams、「Evening, McDonald Lake, Glacier National Park」、モンタナ州、1933〜1942年。National Archives(NARA 519861)。パブリックドメイン。
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